M&A仲介会社やFA(ファイナンシャル・アドバイザー)がWeb集客に本格的に取り組む時代になりました。かつては営業活動(ダイレクトメール)、紹介や金融機関ネットワークだけで十分だった案件獲得も、競争激化によって今ではそれだけでは安定しません。
事業承継・事業譲渡・事業売却・会社譲渡を考えている経営者がまずGoogleで情報収集を始めるようになったことで、SEOはM&A仲介業にとって営業チャネルそのものになっています。
本記事では、M&A仲介・FA業者が実際に月3~5件レベルの相談をWebから獲得するために、どのようなSEO対策を行うべきかを実務視点で解説します。
目次
M&A仲介業とSEOはなぜ相性がいいのか
M&Aや事業承継を検討する経営者は、極めて強い意思を持って検索を行います。
「会社を売りたい」「後継者がいない」「M&A 仲介 どこがいい」といった検索は、すでに相談先を探している状態です。
これは一般的なBtoBマーケティングのリードとは質がまったく異なり、問い合わせから成約までが非常に短いのが特徴です。
また、M&Aは一件あたりの報酬が高額なため、月3~5件の自然問い合わせ(売主側)でも事業の収益構造を大きく変えられます。
SEOは中長期で安定的に見込み客を送り込む仕組みを作れるため、M&A仲介業のような高単価・低頻度ビジネスと極めて相性が良いのです。
「M&AはWebでは売れない」という誤解が機会損失を生んでいる
多くのM&A仲介会社が「M&Aは高額なサービスだから、ホームページから問い合わせが来るはずがない」と考えています。
しかし、実際に問い合わせが来ない本当の理由は、M&Aという商材の問題ではなく、Webサイトが「相談したくなる設計」になっていないことにあります。
経営者は、いきなり契約を結ぶつもりで検索しているわけではありません。「自分の会社は売れるのか」「どんな流れになるのか」「誰に相談すればいいのか」を知るために情報収集をしています。その段階で、内容が薄く、強みも実績も伝わらないホームページにたどり着いてしまうと、不安が勝って離脱してしまいます。
つまり、M&Aの相談がWebから来ないのは「M&Aが高額だから」ではなく、「ホームページが経営者の不安と意思決定に応えられていないから」なのです。
適切に設計されたサイトであれば、M&Aのような高単価サービスであっても、検索経由で安定的に問い合わせを生み出すことは十分に可能です。
M&A仲介業とSEOキーワードの市場環境
M&A仲介会社がSEOに取り組む際、まず理解すべきなのが業界全体の検索競争の構造です。
「M&A 仲介」「会社 売却」「事業承継」といった主要キーワードの検索結果は、日本M&AセンターやM&Aキャピタルパートナーズ、ストライク、M&A総合研究所といった大手数社がほぼ占有しています。これらの企業は長年にわたってWeb集客に投資を続けており、コンテンツ量・被リンク・ブランド力のすべてにおいて圧倒的な優位性を持っています。
このような環境で、同じキーワードを狙っても中小規模のM&A仲介会社が正面から勝つことは現実的ではありません。SEOは資本と時間がものを言う世界であり、大手が多額の予算を投じて積み上げてきたドメインの強さは簡単には覆せないのが実情です。
一方で、多くのM&A仲介会社は自社の公式サイト自体がSEOの土台として十分に整っていないケースが少なくありません。デザインや会社案内は整っていても、検索流入を獲得し、そこから相談につなげる構造が欠けているため、せっかく広告や動画に投資しても成果につながりにくくなります。
SEOに本気で取り組むのであれば、まず公式サイトを「問い合わせを生み出す営業ツール」として再設計することが不可欠です。強みや実績、支援プロセスをわかりやすく伝えられるサイトに作り直すだけでも、検索からの相談数は大きく変わります。
YouTubeやリスティング広告に予算を投じる前に、受け皿となるWebサイトを整えることが、M&A仲介業におけるSEOの最優先事項と言えるでしょう。
M&A仲介会社のSEOがうまくいかない本当の理由
多くのM&A仲介会社でSEOが機能しない最大の理由は、社内にWeb集客の専門家がいないまま、制作会社や場当たり的な外注に任せてしまっている点にあります。
ホームページ制作会社はデザイン制作のプロではありますが、検索流入から「相談」に変えるSEO設計までを担えるケースはほとんどありません。
もうひとつよくある誤解が、金融業界出身者や金融メディア経験者にWeb集客を任せればうまくいくという考え方です。証券や保険、クレジットカードの知識があっても、それだけでは検索順位は上がりません。(むしろ失敗した話しか聞きません)
M&AのSEOで必要なのは、業界の専門用語を並べることではなく、経営者が実際に使う言葉で検索意図を捉え、上位表示させる技術です。
M&Aを調べる経営者の多くは、最初から高度な専門知識を持っているわけではありません。意向表明書(LOI)や株式譲渡契約書(SPA)、PMIといった知識を知りませんし、専門的な知識を自社サイトで書く必要もありません。
「会社を売りたい」「後継者がいない」「M&Aって何から始めればいいのか」といった素朴な疑問から検索を始めます。その段階で、難解な金融用語ばかり並んだサイトにたどり着くと、かえって不安になり離脱してしまいます。
本当に必要なのは、M&Aの専門家(ライターやコンサル)ではなく、検索ユーザーの心理とGoogleの評価ロジックを理解したSEOの専門家です。経営者の言葉で情報を整理し、検索結果で見つかり、読みやすく、相談したくなる流れを作れるかどうかが、M&A仲介会社のSEOの成否を決めています。
M&A仲介会社のSEO費用相場と現実的な予算感
M&A仲介会社がSEOに取り組む際、多くの経営者が最初に気になるのが「いくらかかるのか」という点です。
実際の相場を見ると、大手のWebマーケティング会社や総合代理店に依頼した場合、M&A業界向けのSEOは月額100万円〜300万円以上になることも珍しくありません。競合が強い業界であるため、記事制作・被リンク・分析・改善をすべて含めたフルパッケージでの契約が前提になり、結果として高額になりがちです。
一方で、M&A仲介会社やFA業者が本当に必要としているのは、検索順位を上げること自体ではなく、「会社売却や事業承継の相談を増やすこと」です。その目的に対して、必ずしも大手代理店のフルスペックなSEOが最適とは限りません。
当社では、M&A仲介・FA業者に特化したSEO設計とコンテンツ戦略に絞ることで、月額10万〜30万円程度の予算で運用できる体制を構築しています。大手と同じ土俵でビッグキーワードを奪い合うのではなく、地域名や検討フェーズのキーワードを中心に設計することで、少ない投資でも相談につながる検索流入を生み出せるのが強みです。
実際、広告費を何百万円もかけなくても、正しいキーワードとサイト構造を整えるだけで、月に数件から十数件の問い合わせが入る状態を作ることは十分に可能です。M&A仲介業におけるSEOは、資本力の勝負ではなく、設計の勝負だと言えます。
月3~5件の相談を生むキーワードの考え方
M&A仲介会社が狙うべきキーワードは、検討・比較フェーズにある経営者の言葉です。
会社の将来を本気で考え始めたとき、人は抽象的な言葉ではなく、自分の状況に近い具体的な言葉で検索します。「後継者いない 会社」「会社 売りたい 税金」「M&A 仲介 比較」などが典型例です。
さらに、地域名が付いた検索は極めて重要です。実際のM&Aでは、地元の経済や企業文化を理解している会社を選びたいと考える経営者が多く、「広島 M&A」「岡山 事業承継」といった検索が頻繁に行われています。
こうした領域は大手仲介会社が網羅しきれていないため、地域密着型のFAや仲介会社がSEOで勝ちやすい分野でもあります。
成約につながるコンテンツの作り方
M&A仲介会社が発信すべきコンテンツは、制度の説明ではなく、意思決定に役立つ実務情報です。
経営者が知りたいのは、株式譲渡の定義ではなく、自社の場合にいくらで売れるのか、どれくらいの期間がかかるのか、どんなリスクがあるのかといった具体的な話です。
たとえば、企業価値評価の考え方を説明する場合でも、実際の事例や数字感、交渉でよく起きるズレなどを交えて書くことで、読み手は「この会社は実務をわかっている」と感じます。SEOで上位を取るためではなく、相談したくなるかどうかという視点でコンテンツを作ることが、結果的に検索評価も高めます。
Webサイトの構造が相談数を決める
SEOで集めた訪問者を相談に変えるには、サイトの構造が重要です。
記事を読んで興味を持った経営者が、自然にサービスページや実績紹介、料金説明へと進める設計になっていなければ、問い合わせは発生しません。
M&Aは信頼がすべてのビジネスです。どのようなプロセスで支援するのか、誰が担当するのか、どんな実績があるのかをわかりやすく示すことで、初めて「ここに相談してみよう」という心理が生まれます。SEO記事と営業資料が分断されているサイトほど、機会損失が大きくなります。
広告に依存しない集客モデルを作る
リスティング広告は即効性がありますが、止めた瞬間に集客も止まります。
SEOは時間はかかるものの、一度上位表示を獲得すれば継続的に相談が入る資産になります。M&A仲介業のように毎年必ず需要が発生する業界では、SEOで安定した流入を確保することが、経営の安定にも直結します。
特にFAや地域密着型仲介会社にとって、SEOは大手と正面から戦わずに見込み客を獲得できる数少ない手段です。自社の強みや地域性を活かしたコンテンツを積み上げていくことで、紹介や広告に頼らない集客基盤を構築できます。
まとめ
M&A仲介・FA業者が月3~5件の相談をWebから獲得することは、決して夢物語ではありません。正しいキーワード設計と、経営者の意思決定に寄り添ったコンテンツ、そして問い合わせにつながるサイト設計があれば、SEOは最も強力な営業チャネルになります。
Web集客は一度仕組みを作れば、担当者の営業力に左右されずに案件を生み出し続けます。M&A仲介業において、SEOは単なるマーケティング施策ではなく、会社の成長を支えるインフラと言えるでしょう。