本来、企業にとって内定辞退は「選考にかけたコストが無駄になる」「再び採用活動を始めなければいけない」という理由で極力避けたいものです。そこで今回、実際に内定辞退をした就活生Aさんのヒアリング結果を踏まえ「内定辞退を出さないために、選考で重視すべきこと」についてまとめました。
目次
内定辞退理由3選
辞退理由①内定先で本当に働きたいか分からなくなった
AさんはITコンサルタント企業から内定をもらい内定直後は嬉しかったのですが、改めて会社のホームページやパンフレットを見返してみると、「本当に自分のやりたいことなのだろうか」「そもそも、最初から仕事内容を深く理解したうえで選考を受けていただろうか」と思い始めました。
このような状態が何日か続き、このITコンサルタント企業で働くことに不安を感じるようになりました。
辞退理由②他企業への志望度が高かった
内定辞退した2つ目の理由は「他の企業への志望度が高かった」ことです。
このITコンサルタント企業は、給与も福利厚生も魅力的でした。しかし、最終的にAさんは「自分が本当にやりたいこと」を重視し、別に内定をもらっていた建設コンサルタント企業に入社することを決めました。
この建設コンサルタント企業は、ITコンサルタント企業よりも給与や福利厚生の面で若干劣っていたのですが、それよりも「志望度」を優先させました。
辞退理由③勤務地が希望と違った
内定辞退した3つ目の理由は「内定後に決定した勤務地が希望勤務地と違った」ことです。
Aさんは当時、長野県の大学に通っていました。大学卒業後は、実家へのアクセスが良く、経済の中心地である東京で勤務したいと思っていましたが、内定後に伝えられた勤務地は実家から遠い地方でした。
面接で希望勤務地を聞かれた際、希望は必ず実現できるものではないと面接官から説明をされていました。しかし、やはり希望と違ったことで、内定を辞退したい気持ちが強くなりました。そして、9月に電話で内定辞退をしたそうです。
選考中に重視すべき内定辞退防止策3選
①仕事内容への理解
内定辞退を出さないためには、まずは「就活生が、仕事内容を理解しているかどうか」を確認することが大切です。就活生は「とりあえず早く内定がほしい」「なんとなく興味がある」「事業内容はよく知らないが、大企業だから」という理由で選考に進むことが多々あります。Aさんもその1人でした。
事業内容をきちんと理解せず選考に進み内定を得た結果「私は本当にこの会社で働きたいのだろうか」という不安が生まれ、内定辞退に繋がりました。選考の際、採用担当者は就活生に「事業内容を理解しているか」「入りたい部署、携わりたい事業があるか」を尋ね、就活生が仕事内容をきちんと理解したうえで選考に進んでいるかどうかを見分けることをおススメします。
②志望の強さ
当たり前ですが「どうしてもこの会社で働きたい」と思っている就活生であれば、内定辞退は基本的にしません。Aさんが就活生のとき、最終的に内定を決めた企業は、給料や福利厚生が一番良い企業ではなく「本当にやりたいことがある」企業でした。
選考の際、採用担当者が就活生の「志望の強さ」を知るためには、就活生が仕事内容を理解しているか確認したうえで、「その仕事に興味を持ったきっかけ」「入社後にやりたい仕事」を聞くと良いでしょう。
③勤務地の希望とその理由
就活生にとって意外と重要なことが「勤務地」です。近年、ワークライフバランスを重視する風潮があったり、若者の価値観が多様化したりしています。そのため「家族の近くで働きたい」「恋人と勤務地を合わせたい」「住みたい地域で働きたい」と考える就活生も少なくありません。
Aさんの場合も、希望していた東京勤務ではなく地方勤務となったことが、内定辞退を決める理由の1つとなりました。採用担当者が内定者の勤務地を決める際は「若いからどこへ配属してもあまり問題ないだろう」と決めつけず、就活生の希望勤務地やその理由をなるべく考慮すると、内定辞退を防ぐことに繋がります。