会社組織内においてslackやChatwork(チャットワーク)など様々なコミュニケーションツールを利用していると思いますが、社員同士のダイレクトメッセージが多くて、オープンチャンネルでの情報共有が低い組織は危険です。
困難な状況に直面したとき、slackやChatwork(チャットワーク)で情報共有することをためらう人は多いかもしれません。「自分のミスを公開するのは怖い」「他のメンバーに迷惑をかけたくない」「他の人には関係ない情報」といった心理が働くからです。
しかし、オープンチャンネルで情報を共有することは、長期的に見れば組織全体にとって大きなメリットをもたらします。本記事では、悪いときこそ情報をオープンに共有する理由と、それに伴うリスクやデメリットについても詳しく説明します。
目次
ダイレクトメッセージが多い組織の特徴と問題点
ダイレクトメッセージ(DM)が多く使用される組織には、いくつかの特徴があります。
組織運営がうまくいっていない
まず、情報がオープンチャンネルで共有されることが少なく、個人間で問題を共有されることで、透明性や情報の一貫性が欠如し、上司・同僚・部下同士でプロジェクトの進捗状況や組織課題を把握しづらくなる原因となります。
大手企業で仕組化できている組織ならまだいいですが、メンバーの入れ替わりが多いスタートアップやベンチャー企業でダイレクトメッセージが多いと各自の業務がブラックボックス化してしまい、いつまでもノウハウの蓄積がうまくいきません。
ノウハウが溜まらない
DMが多用される組織は、ノウハウが溜まらないため組織の成長が阻害されます。
個々のメッセージが多いとアーカイブや検索が難しいため、情報の追跡や記録が不可能です。場合によってはメンバーの退職によって情報が失われるリスクも生じます。これにより、同じ問題を繰り返すことになり、状況の全体像を把握するのが困難になります。
DMが多い組織は長期的に見ると情報共有の質や組織全体の協力体制に影響を与えることが少なくありません。適切な情報はオープンチャンネルで共有し、メンバー全員が共通の認識を持てるようにすることで、組織の透明性や効率性を高めることができます。
若手社員が多い
若手社員が多い組織は不必要な遠慮や配慮が出来てしまいます。
ツールで何を共有すべきか、何を共有しなくてもいいかのルールが整備されておらず「これって共有していいのかな?」という気持ちが働いてしまい、結果的に情報共有頻度が下がりがちです。
心理的安全性が低い
こうした組織では心理的安全性が低い傾向があります。メンバーが公の場で意見を共有することに対して不安を感じ、誤解や批判を恐れてDMを使ってコミュニケーションを取ることが多いのです。
この結果、重要な情報が一部の人にのみ伝わり、他のメンバーがその情報にアクセスできないため、意思決定の質やスピードが低下します。
悪い情報は隠される組織
ダイレクトメッセージが多用される組織では、良い情報は積極的に共有される一方で、(発信者にとって)悪い情報は隠される傾向があります。
これは、メンバーが自分たちの立場を守りたいと考えたり、失敗や課題を公にすることでネガティブな評価を受けることを恐れたりする心理が働くからです。その結果、オープンチャンネルには成功事例や前向きな内容だけが共有され、困難や失敗に関する情報が漏れなくなります。
このような状況では、組織全体で問題を正しく把握することが難しくなり、適切な対策を取る機会を逃してしまいます。メンバーが悪い情報を隠し、DMでのプライベートなやり取りだけで課題に対応しようとすると、他のメンバーは状況を知らずに過ごすことになります。そのため、問題が深刻化したときには既に手遅れとなり、大きな影響を及ぼすケースも少なくありません。
また、悪い情報を隠す風潮がある組織では、心理的安全性が低下し、メンバーが課題や疑問を公にすることをためらうようになります。これにより、オープンなコミュニケーションや健全なフィードバックが失われ、組織の成長が停滞します。逆に、困難な情報もオープンに共有する文化を育むことで、課題解決に向けた協力体制が強まり、組織全体の信頼と一体感が深まります。
離職率が高い
結果論になりますが、ダイレクトメッセージが多い会社は離職率が高い傾向にあります。
コミュニケーションの閉鎖性による孤立感
DM中心のコミュニケーションでは、情報が特定の人に限られてしまい、組織全体での情報共有が不足します。これにより、メンバーは他の人とつながりを感じにくくなり、チームの一体感や協力関係が希薄になります。結果として、メンバーは孤立感を覚え、職場に対する帰属意識が低下しやすくなります。このような環境では、社員がより開かれたコミュニケーションを求めて転職を考える可能性が高まります。
公平感の欠如
DMを通じて情報がやり取りされると、一部の人しか重要な情報にアクセスできないという状況が生まれやすくなります。これにより、情報が偏った状態が生じ、特定のメンバーやグループだけが有利な立場になることがあります。このような不公平な情報格差は、社員の間に不満を生み、職場への信頼を失わせます。結果的に、メンバーは組織からの離脱を選ぶことが増えるのです。
オープンな文化の欠如によるストレス
オープンな情報共有が行われていない組織では、メンバーが自由に意見を発言したり問題を共有したりすることが難しくなります。DMでのやり取りが主流になると、重要な情報やフィードバックが他のメンバーに届かないため、意見の食い違いや誤解が生まれやすくなります。このような環境では、メンバーは自己防衛的になり、ストレスを感じることが多くなります。オープンな環境での協力や支援が欠如しているため、社員は次第に自分の意見や価値が尊重されないと感じ、結果として離職率が高くなる傾向があります。
キャリア成長機会の不足
DMが多用される組織では、個人間での情報共有が主となり、組織全体での学びやキャリア成長の機会が減少します。社員は自分の知識やスキルを向上させるために、他のメンバーの経験や知見を共有することを望んでいますが、DM主体の文化ではその機会が限られます。学びの場や協力の機会が少ないと感じる社員は、キャリアアップを求めて外部の職場を探す傾向があります。
このように、DMが多い組織は、コミュニケーションの閉鎖性や透明性の欠如がもたらす孤立感、不公平感、ストレスの増加、そしてキャリア成長の機会不足により、離職率が高くなる傾向があります。オープンな情報共有文化を育むことが、社員の満足度を高め、離職率を下げるために重要です。
ダイレクトメッセージは絶対禁止ではない
大前提でダイレクトメッセージは原則禁止したほうがいいという考えですが、例外も存在します。
オープンチャンネルで情報を共有することの重要性を強調しましたが、全ての状況でダイレクトメッセージを避けるべきだというわけではありません。DMは、プライバシーが求められる話題や特定のメンバーだけで取り扱うべき問題においては適切なコミュニケーション手段です。
たとえば、個人の評価やフィードバック、機密情報に関わる議論などは、オープンにすることで無用な混乱や誤解を生む恐れがあります。また、個人的な飲みの誘いやプライベートな相談「ゲーム貸して!」「今日一緒に帰ろう!」等はダイレクトメッセージで十分でしょう。
大切なのは、どのような情報をオープンに共有するべきかと、プライベートに扱うべき情報を見極める力です。情報共有においては、全体的な透明性を確保しつつも、メンバーの心理的安全性や機密性を守るバランスが求められます。オープンチャンネルが「情報共有の標準」として機能する一方で、必要に応じてDMを適切に活用することが健全なコミュニケーション文化の形成に役立ちます。
ダイレクトメッセージ禁止のメリット
問題の早期発見と迅速な対応
情報をオープンに共有しないと、個人間で問題が閉じ込められ、解決が遅れるリスクが生じます。例えば、プロジェクトの進行中に発生した予期しないトラブルを抱え込んでしまうと、他のチームメンバーや上層部が事態を把握できず、結果として対応が後手に回ってしまいます。
これに対し、オープンチャンネルで情報を共有することで、問題が全体に迅速に周知され、関係者が協力して早期に対応策を講じることができます。全員が問題の存在を知ることで、予想外の視点や新たなアイディアが集まり、より効果的な解決策が見つかることも多いです。
信頼関係の構築
透明性を保つことは、組織の信頼を築くために欠かせません。問題が発生したときにオープンチャンネルで共有することで、他のメンバーは「一人で隠さず、誠実に対処している」と感じ、共有者への信頼が高まります。
これにより、メンバー間のコミュニケーションがスムーズになり、困難な状況でも互いにサポートし合う文化が育まれます。さらに、リーダーが自ら問題を共有する姿勢を見せることで、リーダーシップが強化され、チーム全体がその姿勢に影響されます。
社内文化の改善
情報共有が促進されると、社内の心理的安全性が高まります。心理的安全性とは、メンバーが「自分の意見を述べても否定されない」と感じる環境を指します。これにより、メンバーは失敗や課題を率直に共有しやすくなり、組織全体でオープンなコミュニケーションが進んでいきます。
負の情報であっても共有する文化が根付くことで、メンバー同士がより自由に発言し、新たなアイデアを出しやすくなるため、結果的に組織の成長が促されます。
新たな視点と解決策の発見
困難な問題を一人で抱え込むよりも、オープンチャンネルを通じて多くのメンバーからの意見を求めたほうが、多様な視点からの解決策が生まれることが期待できます。
異なる部門のメンバーや異なる専門分野の人々が問題にアプローチすることで、斬新なアイデアや通常は見落とされがちな視点がもたらされることがあるのです。こうしたコラボレーションによって課題解決に向けた新たなアプローチが生まれ、結果的にチームの結束力も高まります。
組織の持続的成長
情報共有は単なる課題解決にとどまらず、組織の学びと改善サイクルを促進します。問題がオープンにされることで、他のメンバーもそこから学ぶことができ、同じ失敗を避けるための知見が組織全体に広がります。
過去の困難な経験を共有し、それを乗り越えた成功事例として積み重ねていくことで、組織は次の挑戦にも自信を持って立ち向かうことができます。これが持続的な成長を支える重要な要素となります。
ダイレクトメッセージ文化は経営層(マネジメント層)が原因
ダイレクトメッセージ文化が生まれる背景には経営層・中間管理職が原因です。こうしたメンバーが積極的にダイレクトメッセージを活用してしまい、中にはみずから部下にダイレクトメッセージのルール化を強いることで弊害が生まれます。
課長「部長に悪い報告をするな」「情報は取捨選択して共有しろ」といった発言が端を発することもあります。個人的にはマネージャーの役割や仕事を放棄した発言・考え方だと思っています。
問題を気づいていない社長は「良い文化が出来ている!」と勘違いし、組織の腐敗に繋がります。目に見えない部分で問題が起きているため、社長は裸の王様になってしまいます…。
まとめ
困難なときこそオープンに情報を共有することは、組織やチームの成長を促進し、長期的に見て大きな利益をもたらします。もちろん、そのリスクやデメリットも理解し、情報の範囲や公開する際のルールをしっかりと整備することが重要です。
透明性を持って問題に立ち向かう姿勢を示すことで、より強固な信頼関係と成長志向の文化が組織全体に広がり、次の成功へのステップとなるでしょう。